黄泉人知らず

重い月。
容態はどうかな。言い切る「僕もうダメ…生きる欲望がねえ…」なんて。暗転した暮らしの裏事情には誰よりも詳しい。でも分身が書き始める自分史、精神鑑定、虚しい。慢性の症状、チッ、自分は何も悪くない、誰のせい、勝手にこんな風に作って酷いよ。いよいよ一人の臭い晴れ舞台、誰も興味がない張りぼてタブロイドパブロフの犬を連れた、あるノイローゼ役者の歩く道のり、軽く命とり、アルカリ充電チカラある限り続ける演技、うますぎる大根だし。手垢で塗れたアカデミー世界を拒絶して、「ある視点」部門を狙ったつもり、でも子供だましのR指定に沈んだ、やっぱ死んだ方がまだまし。演出家無しの正しい現実が悲しい。結局、超単独主義のため無理のある振り付けは無い、適当なフリースタイルライフ。ドクター天馬のようにただただ逃避行。ろくなテーマもない毎日が定番の終末思考。ずっと知らばっくれてる。知らないうちに日が暮れてる。一日の終わりに自らの手で下げる不細工な緞帳。舞台裏で探り始める日々の生の根拠。見上げた天井に浮かぶものといえば、積み上げた現状が映し出すラストシーンの模様。どうやらそこまでの行程はひどく険しい悪路のよう。あぁ、また眠れずに、真っ暗な枕で息を止めて見る夢は、着ぐるみディズニーのはずが気狂い鼠、目の中に刺青、不意に外れる手摺、もうどうでもいい。全て消えて失くなればいい。
来る日も来る日も苦しもう…明日死のう。「昨日死亡しました…」そう願う最期の希望。
詩に太陽。
パンドラの箱の紐を解くとモヌケのカラ、始めから孤独のブーケが届いていたから。うわべだけの付き合い、ボロボロの絆、そんなのが即ち心の傷か。もっとシャープに言ってよ、「じゃあ首吊ってよ…」そうそうそういう感じの個人的なテロ、僕にもっともっと優しい救いの手を。「取り敢えずまだまだリタイアしないでまだ学びたいな、みたいな」なんて並大抵の手にはのらない。そんな他愛のない賄賂ならいらない、騙されないよ。既に宣戦布告された書く戦争史に残す故人の爪痕、幸せそうなヤツ全員戦戦恐恐となるだろう。「地球規模の集合的無意識が利用される恐れがあります…」。子宮送迎を経て長い長い持久走へ。一生涯?必勝の術なんてない障害物競走。いっそここで終わらせる。今はその事を話せる。嘘つき同世代、「どうせいない…」見ない未来無視で、たまにライムして、周りと時間をうまく消していく。解けたわだかまり、死への期待は高まり、何もかも全てを忘れていく。雑踏に汚された葛藤なんて無意味、あっと言わせる為のリストカットなんて無意味、せいぜい正正堂堂とことん混沌堂堂巡りでも、カオスをオカズに最後くらい楽しもう。今は解き放たれた最高の気分。さあ、これがとどめだ、胸の奥に留めた、綺麗な言葉の順列で築く塔、異例の分裂的スクリプトで何も気付いてない人間の傷口までキツく締めあげると、それはなんて美しい…まるであの日の君の素敵なブローチ…最期にトビっきりの詩的アプローチ…